第68回文藝春秋読者賞受賞


 文藝春秋読者賞という賞の成り立ちを編集者から聞くにつれ、それは嬉しいという実感が深まってきた。審査員ばかりでなく、また読者だけでもない。その両方で選んでくださったというのだから光栄である。
 それにしても、書簡の内容を振り返ると汗顔の至り、拙速にすぎたと感じている。時間的にも二往復が限界だろうが、そうなるといきおい一回の分量が多くなってしまう。すると当然、相手の思いを確かめる間もなく、ある程度は自説の主張にならざるをえない。
 たとえば対談であったなら、もう少し柳澤さんのお考えも確かめつつ進み、言わずに済んだことも多かったように思う。しかし、もしかするとその和して同じない在り方が、支持されたのだろうか。
 掲載号が発売になるとすぐ、読者や友人からの反応が相次いだ。数で云えばそれはとても多かったのだが、「難しい」とか「次号が楽しみ」という留保つきの感想が多かった気がする。もしかするとこの和して同じない在り方と、難しいけれど今後が楽しみ、という意見は、そのまま今後の宗教と科学との折り合いについての意見なのかもしれない。きっとそうだろう。
 その意味で、受賞を言祝ぎ、柳澤さんにもこころからお礼申し上げたい。


「文藝春秋」2007年2月号






(この往復書簡は、電子メールにより行なわれた)