(敬称略)
「情報テラス東北」 2006年11月30日放送(午前11:05〜11:30)   今月の本棚   担当/佐々木祐介

般若心経のブームは落ち着いてきているけれども、芥川賞作家で現役の僧侶の方が『般若心経』を分かりやすく現代の言葉で書かれているおすすめの本です。イラストもたくさんあって読みやすいのではないでしょうか。
※「情報テラス東北」は月曜〜金曜日 午前11:05〜11:30放送。 「今月の本棚」月1回・木曜日です。


「毎日が発見」 2006年12月号(角川SSコミュニケーションズ)  今月おすすめの本   文/丸山貴未子

「毎日が発見」2006年12号 文字数たった262文字。難解と言われる『般若心経』を200ページあまりにふくらませた現代語訳だ。アインシュタインや量子力学、脳科学まで登場し面白く読ませてくれるが、意味を追求するのが現代人の救い難さと著者はくぎを刺す。まずは無心に唱えてみること。理解するより響きを感じること。そこから命への目覚めが始まると説く。


「ミセス」 2006年12月号(文化出版局)  Mrs View Deccember 2006 Book 編集部のおすすめ  文/斎藤みち子

まるごと受け入れるということ
『現代語訳 般若心経』
玄侑宗久著



 全部で262文字。短くてもっとも有名なお経の「般若心経」を現代語訳した本。純文学の作家で、また僧職にある人が現代語訳するのだから、わかりやすい工夫がいろいろ仕掛けられている。お釈迦さまが大勢の求道者や修行者と一緒にいるとき、シャーリプトラ(舎利弗=しゃりほつ)さんが、「もしも立派な若者が、般若波羅蜜多(智慧の完成)を実践したいというなら、どのように学べばいいと、答えてあげればいいでしょう」と聞いたら、世尊は深く悟りの境地におられたので、観自在菩薩が代わりに答えたんです、という設定で、般若心経を解説しはじめる。凝縮しぬいて262文字にしたお経だから、わかりやすく素人に教えてあげると設定しても、じつに難しい。何度も前のページに戻って確かめ、一生懸命理解していこうとしていたら、そんなことしないでまるごと受け入れてしまえというのが結論だったりして、奥が深いことこの上ない。 
ちくま新書 735円


「大法輪」 2006年12月号(大法輪閣)  書物の輪蔵

実は私、その般若波羅蜜多のための実践をしているときに、五蘊は皆「空」なんだって、わかっちゃったんですよ>沐ハ若心経冒頭の「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時…」の文言も、玄侑宗久氏にかかるとこんなに軽妙で楽しげな現代訳となる。玄侑氏がこのたび発表した『現代語訳 般若心経』は、このように遊び心たっぷりのものだが、そこには知的に理解することより「感じること」を大切にしようとする意図がある。最終的に全ての合理的知性を超えて「羯諦羯諦…」の響きの中に自己の「いのち」を見出すのが般若心経の目的なのだという。本書で「いのち」の実感を体験しよう。
筑摩書房(〇四八・六五一・〇〇五三)税込七三五円