養老先生と遊ぶ   養老孟司まるごと一冊


 私はこう見る(2)
「養老先生ってどんな人?」

養老先ってどんな風に見られているんだろう?
14人の方に編集部から勝手に質問をぶつけてみたらこんなお答えをいただきました。


 昨年対談させていただいた内容が、一月に『脳と魂』として筑摩書房から刊行された。二度お会いしたなかで、僭越ながら養老先生に戒名をつけさせていただいたのだが、左下の色紙に書いた「養風」は、その戒名に用いた字面である。
 むろん先生が、虫獲りがお好きなことも「養風」には込めた。もっと云えば、あれだけ大脳をフル回転させる先生が、かなり意識的に体や自然を重視されている事実を盛り込みたかったのである。
 先生は対談のなかでも、「世の中のニーズ」を「理解してるっていう意味じゃなくて、肌でわかって」いたと仰る。つまり、これは風を感じるような、「勘」ということだ。たしかに先生は勘がいい。
 しかも勘で現状を感じとるだけじゃなく、先生はご自分がなんとか世の中を、望ましい方向へいくらかでも動かしたいと念じていらっしゃる。そのやり方が、おそらく「養風」なのである。
 もともと道教の修養法でもある「養風」は、理屈ではできない。しかも人は、結局理屈に従いてくるわけではなく、風に従うのだろう。
 風に乗って養老先生が広まり、その風をまた先生は養い育て、そしてそれがまた風で広まっていく。つまり先生は、風を養いながら風と遊んでいる。それが今のブームなのだと思う。
 この風は、どんどん広まってほしい。先生には、呂洞賓
(ろうどうひん)のように風を自在に操り、お名前どおり養老の仙人になるまで風を送りつづけていただきたい。


おまけ

2005年3月29日新潮社より発売

※他の13名の方々(敬称略)
阿川佐和子・宮崎駿・古舘伊知郎・黒柳徹子・米原万理・茂木健一郎・甲野善紀・齋藤孝
番外編:ガッツ石松・堀江貴文・佐藤江梨子・有田芳生・角田信朗